近年、働き方改革が進み、多様な働き方が注目されています。
その中で、個人事業主やフリーランスとして働く人が増えている一方で、これらの働き方の違いが理解されていない方も多いです。
この記事では、個人事業主、フリーランス、自営業の違いから働き方や手続き、税金や保険の扱いを詳しく解説し、適切な選択をするための参考となる情報を提供します。
まずはフリーランス、個人事業主、自営業の違いを理解しましょう。
1. フリーランス・個人事業主・自営業の違い
フリーランスとは
フリーランスは、会社や団体に雇用されずに独立して仕事を請け負う個人の立場を指します。以下はフリーランスの特徴です。
- 案件ごとに契約を結ぶことが一般的です。
- ライターやエンジニア、デザイナーなどがフリーランスとして働くことが多いです。
個人事業主とは
個人事業主は、税務上の区分であり、税務署に開業届を提出して事業を行う個人を指します。以下は個人事業主の特徴です。
- 飲食業や小売業、開業医や士業などの業種が含まれます。
- 店舗を持つ事業や士業は一般的に個人事業主となります。
自営業とは
自営業は、会社に雇用されずに自身で事業を営む人の総称です。以下は自営業の特徴です。
- 個人事業主やフリーランスだけでなく、会社経営者なども自営業に含まれます。
- 自営業の形態は多様であり、様々な業種や形態が存在します。
以上がフリーランス、個人事業主、自営業の違いです。
各々の定義と特徴を理解し、自身の働き方や事業形態に合った適切な選択をすることが重要です。
次は、フリーランスと個人事業主の働き方の違いについて詳しく見ていきましょう。
2. フリーランスと個人事業主の働き方の違い
フリーランスと個人事業主は、働き方の面でも異なる点があります。以下では、両者の働き方の違いについて詳しく解説します。
1. 契約形態の違い
- フリーランス：フリーランスは、プロジェクトごとにクライアントと契約を結びます。仕事ごとの契約が成立し、仕事が終わると契約も終了となります。
- 個人事業主：個人事業主は、自身で事業を行っているため、直接的な契約はクライアントと結びません。代わりに商品やサービスの提供契約を結ぶことがあります。
2. 必要なスキルと専門性の違い
- フリーランス：フリーランスは、自分の専門知識やスキルを提供することが求められます。ライターやエンジニア、デザイナーなど、専門的なスキルを持つことが多いです。
- 個人事業主：個人事業主もスキルと専門性は重要ですが、事業全体を管理し運営するための幅広いスキルが求められます。販売やマーケティング、経理など、多岐にわたる業務に対応する必要があります。
3. 自己管理と仕事の受発注の違い
- フリーランス：フリーランスは自分で仕事を見つけ、クライアントと契約を結ぶ必要があります。また、仕事の受発注やスケジュール管理も自己責任で行う必要があります。
- 個人事業主：個人事業主も自分で仕事を見つける必要がありますが、事業全体の運営や顧客の管理など、より広範な業務を行う必要があります。さらに、スケジュール管理や従業員の管理など、より大きな責任が求められます。
4. 収入と利益の違い
- フリーランス：フリーランスは、プロジェクトごとに報酬を受け取ります。報酬は仕事の成果や納品物によって決まります。収入はプロジェクトごとに変動することがありますが、自身の成果によって利益を得ることができます。
- 個人事業主：個人事業主は、事業全体の収益から利益を得ることができます。売上から経費や税金を差し引いた残金が利益となります。収益は事業全体の成果によって決まるため、個人のスキルや能力だけでなく、事業全体の運営や売上増加などにも関わってきます。
それぞれの働き方にはメリットやデメリットがありますので、自身の目標やスキル、適性に合わせて適切な働き方を選択することが重要です。
3. 個人事業主になるための手続き
個人事業主になるためには、いくつかの手続きが必要です。
以下では、個人事業主として開業する際に必要な手続きについて詳しく説明します。
3.1 税務署への届出・申請
個人事業主が開業する際には、まず納税地の税務署に届出・申請を行う必要があります。
- 開業届：事業開始後1カ月以内に提出する必要があります。
- 出張所移動の届出：事業所の所在地や事業の内容が変わった場合に提出します。
- 資本金・従業員の変更の届出：資本金の増減や従業員の変動があった場合に提出します。
- 青色申告の承認申請：青色申告制度を利用する場合に提出します。
青色申告を行うと、確定申告時に最大65万円の所入控除を受けることができます。
また、最長3年間の赤字繰り越しが可能です。
3.2 都道府県税事務所への申告
個人事業主が開業する際には、都道府県税事務所に「事業開始（廃止）等申告書」を提出する必要があります。
提出期限は、事業開始日から15日以内です。
3.3 年金・保険関係の手続き
個人事業主として開業する場合、厚生年金保険と健康保険から国民年金と国民健康保険への切り替えが必要です。
国民年金への切り替え手続きは、居住地の市区町村役場で行います。
国民健康保険への切り替えについても、原則として居住地の市区町村役場で手続きを行いますが、一部の職種では国民健康保険組合に加入できる場合もあります。
以上が、個人事業主になるための主な手続きです。
開業届の提出や税務署への申請、都道府県税事務所への申告、年金・保険の手続きなどを適切に行うことで、円滑に個人事業主として活動を開始することができます。
4. 税金・社会保険の扱い
フリーランスや個人事業主として働く際には、税金と社会保険の扱いについて理解しておくことが重要です。
以下では、フリーランスや個人事業主が支払う税金と加入する社会保険について詳しく説明します。
税金の種類
フリーランスや個人事業主が支払うべき税金は、主に以下の4つです。
- 所得税
– 所得に対して課される税金であり、収入から経費を差し引いた「儲け」に対して課税されます。
– 所得金額によって税率が異なるため、節税のためには経費の計上や控除を上手に活用することが重要です。 - 住民税
– 地方自治体に納める地方税であり、所得割と均等割から構成されます。
– 所得割は前年度の所得に応じて納める税金であり、均等割は所得に関係なく定額で課税されます。
– 住民税の税率は都道府県や市区町村によって異なります。 - 個人事業税
– フリーランスや個人事業主が行う事業に対して課される地方税であり、年間の所得が一定額以上になると課税されます。
– 個人事業税の税率は業種ごとに定められており、自身の業種に該当する税率を確認しましょう。 - 消費税
– 一般的に広く課される国税であり、フリーランスや個人事業主も課税の対象です。
– 基本的には前々年の課税売上高が1,000万円以上の場合に消費税の納税義務が発生しますが、詳細な規定によって納税の要件が変動する場合があります。
社会保険の考慮事項
フリーランスや個人事業主は、社会保険の加入にも注意が必要です。
- 健康保険：フリーランスや個人事業主になる際には、加入していた健康保険から国民健康保険への切り替えが必要です。
- ただし、前職の会社によっては退職後も加入が続けられる場合もありますが、その際は保険料を自己負担する必要があります。
- 年金：フリーランスや個人事業主は、厚生年金ではなく国民年金に加入します。
- ただし、国民年金だけでは将来の年金額が少ないため、付加年金や国民年金基金、小規模企業共済などの選択肢を検討することも重要です。
- 近年では個人型確定拠出年金（iDeco）なども利用することができます。
フリーランスや個人事業主にとって、税金と社会保険は重要な要素です。
適切な税金の納付や社会保険の加入について十分に理解し、節税やリスク管理にも取り組むことが大切です。
まとめ
フリーランスと個人事業主は、それぞれ異なる働き方や手続きがありますが、どちらの形態でも自由度の高い働き方が可能です。
フリーランスは案件ごとに契約を結び、自身のスキルや専門性を提供することが求められます。
個人事業主は事業全体を管理し運営するため、多岐にわたる業務に対応する幅広いスキルが求められます。
どちらの選択をするにせよ、努力や計画を重ねることで成功することができます。
自身の目標やスキル、適性に合わせて適切な働き方を選択し、自由で充実した仕事人生を送りましょう。
