「ブランド」と聞くと、企業や商品・サービスについてのブランドをイメージする方が多いと思います。
この記事では、自分自身をブランド化する「パーソナルブランディング」について説明していきます。
昨今は、「モノ余りの時代」と言われています。
同じような商品やサービスで溢れかえっていて、すでに商品やサービス自体に価値がなくなっているんですね。
例え、独自商品やサービスを提供できたとしても、すぐに模倣され類似商品やサービスで溢れかえります。
そんな時代だからこそ、「何を買うか」ではなく「誰から買うか」に焦点を当てたビジネス戦略が重要になってきます。
あなたという「個人の価値」を打ち出して、それを顧客に認めてもらう必要があるのです。
そのための必須スキルが「パーソナルブランディング」です。
【この記事でわかること】
- ブランディングについて
- ブランディングのメリット・デメリット
- ブランディングの具体的な手順
パーソナルブランディングの基礎
そもそもブランドやブランディングって何?
【ブランディング】ブランドイメージを高めのためのあらゆる活動
「ブランド」とは、広義な意味では、顧客があなたに抱く共通イメージや人物像を指します。
ブランドを設計し、多くの人に認知させ広めていくためのあらゆる活動が「ブランディング」です。
ブランディングは、大きく分けて以下のの三つの要素で構成されます。
- 【ターゲティング】ブランドの顧客像を仮定する
- 【ポジショニング】市場におけるブランドの立場を決める
- 【コンセプト】ブランドが顧客に提供する価値を設定する
さらにブランドには、顧客視点で考える「ブランドイメージ」と、ブランド側、つまりあなた視点で考える「ブランドアイデンティティ」があります。
「ブランドイメージ」は、顧客があなたというブランドに抱くイメージや印象を表すときに使います。
一方「ブランドアイデンティティ」とは、あなたが考えるブランドのあるべき姿で、「顧客にイメージして欲しい理想のブランド像」を表すときに使われます。
ブランディングは、ブランドイメージをブランドアイデンティティに近づけていく活動ととらえてもよいでしょう。
ブランディングとマーケティングの違い
ブランディングと混同されやすいのが、マーケティングです。
ブランディングとマーケティングの違いを一言で言い表すと
- 【ブランディング】あなたのイメージを高めるための活動
- 【マーケティング】商品やサービスを売るための活動
と言えます。
商品やサービスはブランドアイデンティティが土台となり開発されることになり、その商品やサービスを売るためにマーケティング活動が行われます。
つまり、ブランディングはマーケティングの上位に位置し、すべてのビジネス活動の軸となるものです。
自分自身をブランド化する目的とは
自分自身をブランド化する目的は、あなたのファンを作り顧客から選ばれる存在になることです。
顧客から「あなたは価値ある存在」と認められことが何より大切です。
そのためには、あなたの「価値観やビジョン」に共感してもらえる人たちを増やし、集めていくことが重要になります。
あなたが何の特徴もないコモディティ化された状態であると、顧客はあなたから買う理由が見当たりませんし、認知すらされません。
あなたのブランドを適切に設計しブランディングを行っていくことで、あなたの存在や価値が認知されるようになります。
そして「あなたに頼みたい」「あなたから買いたい」という状況を作り出すことができるようになってくるのです。
ブランド化のメリット
- 専門性が認知されファンが増える
- 信頼度がアップし購買率が上がる
- 価格競争に巻き込まれない
- 長期リピート率が期待できる
ブランド化が進むと、あなたが築いた独自のポジションにおいて、徐々に専門性が認知されファンが増えていきます。
ファンが増えると、仕事の依頼が増えたり、商品やサービスの購買率が上がってきます。
顧客がファンになるということは、指名買い状態になっているということです。
そのため競合との価格競争に陥ることもなくなり、長期的なリピート率にも期待ができるようになります。
さらに、価値ある商品やサービスを提供し、顧客満足度を上げることができれば、信用度が増してきます。
結果、商品・サービスの購入者がさらに増えていくという好循環がうまれます。
この好循環は、仕事に対する充足感や幸福感、自尊心にもつながることになるのです。
ブランド化のデメリット
- ブランドの方向転換が難しい
- 信頼を毀損するとダメージが大きい
ブランド化はメリットだけではなく、デメリットもあります。
ブランド化がうまくいくと、イメージが固定化されてしまうため、ブランドを方向転換することが難しくなります。
時代の変化とともにブランドが陳腐化したり、ターゲット層を変えるなど、何かの理由で方向転換に迫られることがあるかもしれません。
その場合は、ブランドを作り直す「リブランディング」が必要となりますが、固定化されたブランドイメージを変えていくには時間がかかるというデメリットがあります。
そして、顧客からの信頼が毀損することによるデメリットです。
顧客から信頼が得られないとビジネスを継続することが難しくなりますので、顧客の期待以上の価値を提供する意識を持ち取り組んでいくことが重要になってきます。
ブランド化の8つのステップ
STEP1)自己分析
STEP2)顧客ニーズの分析
STEP3)競合の分析
▼ブランドコンセプトの設計
STEP4)ペルソナとポジションの正式決定
STEP5)ブランドコンセプトの作成
STEP6)ブランドデザインの作成
▼ブランドの発信
STEP7)ブランドサイトを構築
STEP8)情報発信を開始
ブランド化のステップには、大きく「現状分析」「ブランド設計」「ブランド発信」の3つのフェーズに分かれ、全部で8つのステップがあります。
「現状分析」のフェーズでは、自己分析、顧客ニーズ、競合を分析し、あなたの強みを見つけ、それを必要としている人物は誰なのか、そして競合はどんなポジションをとっているのかなどを調査していきます。
次の「ブランド設計」フェーズでは、分析をもとにあなたがどの分野で何の専門家としてビジネスをするのかを決め、ブランドを明確化ていきます。
最後の「ブランドの発信」フェーズでは、明確化したブランドを情報発信して広めていきます。
それでは、各STEPについて詳しく解説していきます。
現状を分析する
STEP1 自己分析
ファーストステップの自己分析では、あなたの人生経験で得た「知識」「スキル」「実績」「得意なこと」「好きなこと」などの多角的な視点で棚卸しすることで、自分自身をもっと知り、「強み」を見つけていきます。
いわゆるネタ出しですね。
ポイントは、「これくらいの実績しかないしなぁ」とか「このスキルは無理そうだな」などと考えずに、とにかくすべてピックアップしていくことです。
深く考えすぎずに思いつくまま書き出していきましょう。
自己分析であなたの強みを見つけていく方法は以下の記事をご覧ください。
さと こんにちは、さとです。 自分の強みを活かしたビジネスができるといいな でも自分に強みなんてあるのだろうか この気持ちよくわかります。 普段生活をしていると、強みなんて意識することはありませ[…]
STEP2 顧客ニーズの分析
強みをピックアップしたところで、そもそもそれを必要としている顧客がいないとビジネスは成立しません。
このSTEPでは、「あなたの強みを必要としている人は誰か」という視点で見込み客を定義していきます。
さらに、「あなたが顧客に還元できること」も抽出していきましょう。
まずはピックアップした強みから、想定されるおおまかなターゲットを決め、インターネット上で情報収集していきます。
そのターゲット層が抱えている具体的な悩みや、性別や年齢などの属性をわかる範囲で書き出してみましょう。
そして収集した情報をもとに、ペルソナを設定していきます。
顧客ニーズの分析については以下の記事をご覧ください。
さと こんにちは。さとです。今回は「ペルソナ」について解説していきます。 WEBマーケティングでよく聞く「ペルソナ」。 マーケティングの本などを読まれたことがある方は、一度は「ペルソナ」という言葉を聞いたことがある[…]
STEP3 競合の分析
「あなたの強み」と「見込み客」が見つかったところで、次はライバルとなりそうな競合を調査していきます。
競合のWEBサイトなどから、競合の強みと弱み、狙っているターゲットやポジション、どのような商品やサービスを提供しているのかなどを洗い出していきます。
競合を調査するポイントは、ペルソナの視点で
「ペルソナだったら、悩みや課題を解決するために、どういうキーワードで検索するのか?」
を考えてみることです。
例えばあなたが設定したペルソナが、自宅にいながら痩せる方法を探している場合
「自宅 痩せる」
「自宅 痩せる 器具」
「自宅 痩せる トレーニング」
などのキーワードで検索するはずです。
それらのキーワードで検索して出てきた会社が、競合です。
ブランドコンセプトを設計する
STEP4 ペルソナとポジションの正式決定
ここまでで、STEP1では「あなたの強み」をいくつかピックアップし、見込み客と競合を調査していきました。
このSTEPでは、候補に挙げた強みやターゲットを最終的に1つに絞り、あなたが「どの分野で何の専門家」としてビジネスをするのかを決定します。
ポジション分析については以下の記事をご覧ください。
今回はビジネス戦略を立てるときに欠かせない「ポジショニング」と、ポジショニングの分析手法である「ポジショニングマップ」について解説していきます。 大企業であろうが個人であろうが、ビジネスにおいて、どのポジショニングで戦っていくかを決め[…]
STEP5 ブランドコンセプトの作成
あなたが何の専門家であるかが決まったところで、次は「ブランドステートメント」「価値観やビジョン」「コアメッセージ」などのブランドコンセプトを作成し、あなただけの独自ブランドを形成していきます。
ブランドステートメントの作成
まずはじめに、以下の質問の答えをテンプレートに埋め込んでいくことで、ブランドステートメントを作成してきます。
【質問】
- あなたは何の専門家で
- 誰のために(ターゲットは)
- どんな強み(価値)を活かした
- どんな商品やサービスを提供することで
- 顧客がどのように変われることを約束するのか
【文章のテンプレート】
【③の答え】を活かした【④の答え】を提供することで、
顧客が【⑤の答え】となれることを約束します。
価値観やビジョンの言語化
価値観やビジョンを言語化することは、見込み客が「あなたから買う理由」を決定づける重要な項目となります。
あなたがなぜこの商品やサービスを提供しているのかを示す理由として、あなたのこれまでの人生経験から生まれた「価値観やビジョン」を言語化します。
「価値観やビジョン」は、ブランド発信のステップで、ブランドサイトのプロフィールとしてストーリー形式で文章化しますが、ここでは箇条書きで簡潔にまとめておきます。
コアメッセージの作成
このSTEPでは、ブランドコンセプト、価値観やビジョンをを短い言葉で端的に表す15文字程度のコアメッセージを作成します。
タグラインとも言われますが、あなたのブランドを印象付けるために、情報発信において繰り返し使われるメッセージとなります。
例えば、オバマ元大統領は、選挙期間中にスピーチやSNSで「Change Yes We Can」というコアメッセージを繰り返し使っていました。
これにより、「バラク・オバマ=変革のリーダー」というイメージを植え付けることに成功し、アメリカ大統領となったのです。
このように、コアメッセージは情報発信で頻繁に使われるメッセージとなるため、あなたのブランドをイメージしやすいような印象的でわかりやすいメッセージを考えてみましょう。
参考例をいくつか列挙してみます。
- 【マクドナルド】i’m lovin’ it
- 【タワーレコード】NO MUSIC NO LIFE
- 【ニトリ】お、ねだん以上。ニトリ
- 【NIKE】JUST DO IT.
- 【資生堂】一瞬も一生も美しく
- 【ミツカン】やがて、いのちに変わるもの。
- 【カルピス】カラダにピース。
- 【ティモシー・フェリス】The 4-Hour(週4時間だけ働く)
- 【マリア・アンドロス】THE ANSWER IS YOU(答えはあなたの中にある)
STEP6 ブランドデザインの作成
ブランドデザインは、あなたのブランドイメージをビジュアルで伝えるための手段となります。
そしてブランドデザインは、ブランドコンセプトを象徴するデザインに統一する必要があるのです。
ブランドデザインを作成するポイントは次の通りです。
- ブランドコンセプトを反映していること
- 1度決めたら変更しないつもりで作成する
- すべてのタッチポイントで統一感を出すこと
ブログやSNSなど、顧客との接点を「タッチポイント」と呼びます。
今後ブログやSNSで情報発信していきますが、タッチポイントから受ける印象に統一感がないと、ブランドイメージがうまく伝わりません。
例えば、ブログが「青」を基調でデザインされているのに、Twitterでは「赤」を基調としてデザインされているようなケースです。
青色がイメージさせる印象は、「冷静」「誠実」などであるのに対し、赤色は、「情熱」「活動的」などの青色とは正反対の印象を与えます。
これでは各接点でブランドイメージがバラバラに伝わってしまうため、ブラインドを形成することはできませんよね。
ブログやSNSで使用するロゴやアイコン、ヘッダー画像やブランドカラーなどのデザインには、ブランドコンセプトを反映させ、各タッチポイントでは統一感のあるデザインを適用しましょう。
ブランドを発信する
STEP7 ブランドサイトを構築
STEP6で作成したロゴやブランドカラーを使い、あなたのブランドを発信していくためのベースとなるブランドサイトを構築します。
ブランドサイトは、WordPressなどで構築することをおすすめします。
必ず作成して欲しいのが「プロフィール」ページです。
このプロフィールページには、ブランドコンセプトを反映させていきます。
そして、ブランドコンセプトに繋がることになった人生経験をストーリー形式で文章化します。
「なぜそのコンセプトが生まれたのか?」
あなたの人生から生まれたブランドコンセプトをストーリーとして語りましょう。
【プロフィールページの構成例】
- 簡潔な自己紹介
・名前や年齢などの属性
・何の専門家で何が得意なのか
・どんなビジネスをしているか - 略歴(ストーリー形式)
・あなたの人間性やビジネスをする資格がある理由
・実績やそれを証明できる画像 - メディアの紹介
・ブログやTwitterなどの紹介 - コンセプトやメッセージ
・ブランドコンセプトや価値観
STEP8 情報発信を開始
ここまでくれば、いよいよ各メディアを使って大いにあなたのブランドを発信する段階です。
顧客が情報収集のために、あなたが運営するWEBサイトやSNSを訪れ、初めてあなたを知ることになります。
ここで顧客があなた自身に価値を感じてもらえれば、ビジネスチャンスは大きく広がります。
ブログや、Facebook、Twitter、Instagram、YoutubeなどのSNSを使って情報発信をしていきましょう。
まとめ
今回はパーソナルブランディングについて、基礎知識から具体的な作成方法までを説明してきました。
今後起業を視野にいれているけど、どんなビジネスで起業しようか決まっていないのであれば、まずはブランディングから始めてみてください。
きっとあなたがまだ気づいていない「あなたの強み」を発見し、そこから最適なビジネスを導き出すことができるはずです。